2024年 年頭所感

新年あけましておめでとうございます。組合員の皆さま、賛助会員の皆さま、本年も宜しくお願い申し上げます。

さて、昨年の世界情勢は、新型コロナウィルスのパンデミックからの回復が期待された中、欧米の高金利・高インフレや中国の景気減速に加え、長引くウクライナ侵攻問題や、地政学リスクの顕在化等にもより、停滞感が漂う年になりました。7月~9月期の実質GDPは、米国では5期連続でプラス成長となるものの、中国では伸び幅が減少、またEUでは3期ぶりのマイナス成長になるなど、各地域での成長格差が広がりました。国内では、7月~9月期の実質GDP成長率は、前期に比べ▲0.5%と3四半期ぶりのマイナス成長となり、物価上昇による個人消費の伸び悩みや設備投資が弱含んだことと、輸出の伸びにも力強さが欠けたこと等が影響したと思われます。

本年の世界経済は、欧米の金融引き締めによる需要の下押しや、中東紛争激化への懸念など不確実性が高まり、下振れリスクが高まっています。国内では政府による新たな総合経済対策やインバウンド需要の復調等に期待されますが、依然として物価上昇圧力は強く、人手不足への対応など課題も残ります。

業界環境として昨年の国内住宅需要は、1月-10月までの新設住宅着工数は前年比95.7%と減少傾向にあり、中でも持家は資材高騰による住宅価格の高止まり等により23カ月連続の減少となりました。本年も、資材高騰の影響は残り、持家は厳しい状況が続くと思われますが、昨年同様に省エネ住宅支援策による質の高いストックの形成に向けた需要の創出に期待が持てます。

一方、国内の合板需要は、木造戸建て住宅の着工減などの影響を受け、国内と輸入の全体量は減少しました。国産合板は需要に見合った生産調整を継続し需給バランスは保たれましたが、輸入合板は、需要低迷に加え歴史的な円安により新規発注が控えられ、入荷量は1月から10月までの累計で160万㎥を下回り、過去に類を見ない程の大幅減少となりました。今後も需給バランスを保つために、国内・輸入合板ともに需要に見合った供給が望まれます。

このような環境のなか、日合商は合板をはじめとする建材需要の安定化や合法伐採木材等の利用と普及・拡大の活動に取り組んで参りました。2050年脱炭素社会の実現に向け、公共建築物から一般建築物にまで木材利用の動きは広がりをみせています。また、昨年5月には改正クリーンウッド法が公布され、2025年施行に伴い合法伐採木材の需要は更に増加していくものと推測されます。今後も、合法伐採木材等の利活用・木造建築物の拡大等、国の施策を見据えた取り組みを会員の皆さまと共に進めて参ります。

日合商の会勢の強化に関しましては、合法伐採木材等の供給事業者認定取得のための入会による増加と、事業撤退や合併等による減少の結果、組合員数は739社(2023年9月末日)となっています。引続き、組合員・準会員・賛助会員の皆さまのご協力を仰ぎ、会勢強化への取組に向けて邁進していく所存です。

本年も、会員相互の「協調と連帯」のもと、情報の早期収集並びに発信を通じ、組合員の皆様の事業拡大・強化に貢献して参りたいと考えております。

会員の皆さまと連帯し、共に成果を手にいれる年とすることを祈念して、年頭のご挨拶とさせていただきます。

2024年1月5日

理事長 足立健一郎